木造住宅|木の家の寿命は30年?寿命を延ばすために必要なポイントとは~
- T.T
- 2017年7月23日
- 読了時間: 6分
これから家を建てようと考える場合、住宅の構造について考えるのは当然ですが、その場合選択肢としては木造・鉄筋コンクリート造・鉄骨造などが挙げられると思います。
しかしそれぞれにはメリット・デメリットがあり、いつどのような問題を抱えるかということを予め考えておかなければ、後々失敗した!というような事態になりかねません。
そこでここでは、住宅を建てる前に知っておくと後々後悔せずに済む知識を紹介したいと思います。

1.木造住宅・鉄筋コンクリート(RC)造・鉄骨造の長所と短所
①木造住宅の特徴
木造住宅は日本の住宅の半分以上を占める構造で、木材を構造体に用います。平均寿命は30年~80年と言われています。
メリット
・建築費用が安い ・新築、リフォーム時に自由度が高い ・木の温かみなどによる精神的なメリットがある
デメリット
・耐久性が低い ・RC造に比べ火災に弱い ・職人の腕によって品質にばらつきが生じやすい ・害虫や気象災害による劣化が起きやすい
②RC造住宅の特徴
鉄筋をコンクリートで覆い、構造体を作ります。平均寿命は40年~90年と言われています。
メリット
・大空間をつくれる ・大きな窓を設置できる ・デザインが自由自在 ・気密性・防音性・耐火性・耐震性に特に優れる ・火災保険が安い
デメリット
・結露が生じやすく、カビも発生しやすい ・建物の重量が重い(土地を選ぶ) ・解体費が高価 ・リフォーム時の設計の自由度は低い ・コストがかかる
・工期が長い
③鉄骨造住宅の特徴
鉄骨造住宅は2つの構造に分けられます。厚さ6mm未満の鋼材を構造体に用いる軽量鉄骨構造と、厚さ6mmを超える鋼材を用いる重量鉄骨造です。平均寿命は30年~60年と言われています。
メリット
・構造体の品質が均一で安定している ・耐震性に優れる ・大空間が作れる ・火災保険が安い
デメリット
・結露やカビが生じやすい ・規格化された材料を使うため、リフォーム時の設計の自由度は低め ・工期は短いが、工場での準備期間が必要になる ・長時間の火災に弱い
まとめ
①~③を総合すると、木造はその自由度の高さから多様な変化に対応しやすいという面があり、戸建て住宅に向いている構造です。一方で耐震性など災害への予防に重きを置かれる場合は、鉄骨造やRC造を検討されると良いかと思います。ただし、重量が増えるので地盤が強固でなければなりません。

2.住宅に必ず必要になる要素
ここでは、木造住宅を建て始めてから住宅が寿命を迎えるまでの期間で行うべきことを考えます。
木造住宅は他の構造に比べ耐久性が低いです。しかし、長く住めないという訳ではありません。
そもそもなぜ、木造住宅の寿命が30年~80年と非常に幅広くなっているのでしょうか。それは、寿命以外の理由で取り壊された場合も含まれているからです。
木造住宅は、適切なタイミングで適切なメンテナンスを実施すれば、より長く住むことが可能なのです。
重要なポイントは12個です。
1つ目は防蟻点検です。当社では外断熱を採用しているため、シロアリ被害の心配をされるお客様が多いのですが使用する断熱材に防蟻作用を加え、かつ熱伝導率は従来と変わらないものを使用しておりますので、問題はないかと思います。
万が一被害が生じた場合には、構造体への影響が出る前に対策する必要があります。
2つ目は外装のメンテナンスです。塗装などの塗り替えは、シリコンでだいたい10年間隔で必要になってきます。次に、目地の打ち替えを行いましょう。サイディング(羽目板)の継ぎ目やサッシ周りなどの隙間を埋めている素材を補修することです。この際に軒裏や雨樋などの細かい部分も一緒に点検し、必要に応じて塗装や修繕を行うとよいでしょう。また、玄関扉やサッシ、シャッター類の点検と部品交換を行うとよいですね。30年を目安に、壁の張替えが必要となります。注意したいのは木部についてです。木部は腐食しやすいので、3~5年ごとを目安に塗装替えを行いましょう。また、外壁の防水等のメンテナンスは、外周部に足場を建てる場合がほとんどです。これは、屋根やベランダについても同様です。自分たちの工事中のストレスだけでなく、近隣への配慮などを考えると、なるべくなら一気に済ませてしまいたいですね。
3つ目は水栓やパッキン、配管などです。5年ごとに点検を行い、継ぎ目からの水漏れや汚れの蓄積、配管の割れ、劣化といった不具合から、交換の必要性があるかを確認します。10年~20年で、水栓器具本体や配管は寿命を迎えます。特に水廻りに関しては日常清掃を行いつつ水漏れから起こるシミや、欠損による浸水、配管からの異臭などを早い段階で察知し、構造体に異常が出る前に修繕しましょう。容易に行えるような構造にしておくことが望ましいですね。
4つ目は屋根のメンテナンスです。スレートは7~10年、20~25年に点検と、表面の塗装を行いましょう。葺き替えの目安は30年です。ガルバリウム鋼板は10~15年ごとを目安に、点検と表面の塗装を行いましょう。サビを防ぐことで美観も長持ちしますので、日常的にサビや汚れもチェックします。特に塩害が心配な地域は、定期的に水洗いすることをおすすめします。瓦には塗装替えの必要はありませんが、10~15年ごとを目安に点検を行いましょう。必要に応じて、下地や漆喰、欠損部などの補修を行いましょう。
5つ目はベランダの防水です。10年ごとに点検を行い、必要に応じて張替えや補修を行いましょう。上記の「外壁」でも解説しましたが、防水メンテナンスはなるべく一気に済ませることをおすすめします。
6つ目はクロスです。クロス張替えの目安は約10年ごとです。ただ、汚れや傷など、美観的に問題を感じなければ、張替えは行わなくても問題ありません。
7つ目はフローリングです。美観を保つためにも半年ごとにワックス掛けを行うことが理想的です。点検は5年ごとに行い、下地を含めた部分的な補修を行いましょう。表面の仕上げの剥がれや割れ、踏んだ際にベコベコとたわむ、下地から軋むような音がするといった不具合を感じ始めたら、張替えを検討する時期に入ります。目安は築20年ころです。
8つ目はキッチンです。10~20年を目安に、加熱機器や食器洗浄機が寿命を迎えます。本体、扉、天板などの部分的な交換は、15年程度で検討しましょう。
9つ目は洗面化粧台です。15年~25年を目安に、本体の交換が必要になります。
10こ目は便器です。10~15年で温水便座の交換、20年~30年を目安に便器の交換を行いましょう。
11こ目はユニットバスです。20年を目安に、必要に応じて取替えましょう。
12こ目は給湯器です。7~15年で寿命を迎えますので、交換を行いましょう。
注文住宅など間取りから計画に携わる場合には、長年にわたり住みやすく、メンテナンスしやすい計画を立てるように意識することが大切です。お客様のこだわりを最大限考慮しつつ、我々プロフェッショナルが長い目で見た場合の提案もさせていただき、最高のプランを一緒に作り上げていきましょう。
Comments